舞台と介護。
舞台と介護。
私たちの仕事上、幾度となく出てくる支援という言葉。その方の暮らしや人生を考え、その方らしい生活に近づけるための手段として介護を提供する。私たち介護する側が考えながら接し、そしてその方のために支援していく。
先日、戦争と精神病院での生き様を描いた「ハオト」という小野寺丈氏が座長を務める舞台を拝見させて頂いた。
もちろん舞台内容は素晴らしく、笑いもあるが感動もある。誰のための戦争か・・今と昔の世をつなぐものは何か・・・そんなことを考えさせられた舞台だった。
その後に一席ご一緒させて頂き、その会話の中でふと考えさせられる話があった。
役者と舞台との関わりの話である。
役者(キャスト)陣をより舞台に専念させるべく、計画された環境設定は必要だが、それを踏まえても慌てる。舞台裏といっても人が多分にいるわけではないと思うが役者が演技を立てるために裏では走る。キャストが裏方として役者を立てながら協力している。一生懸命なのだ。
もちろん、主役である役者を引き立たせることが最重要だからだ。
この仕事においても同じことが言えないだろうか
介護をする側としたら、主役(ご利用者)を盛り上げる為には、裏方としてご利用者を支える必要があり、自分が役立つ存在になるのではなく、あくまでもその人を引き立たせる役割を持たなくてはならない。
私自身、時々気づいてハッとする。
ご利用者様の力を引出すことができているか
ご利用者様の自律:判断力を奪っていないか
ご利用者様が思考する機会と時間をうばっていないか
ご利用者様が自分の力で生きているという実感を持ってもらっているか
ご利用者様の気持ちを前向きに保てているか
常に考えながらその人本来の“らしさ”を引き出したいものである。相手の喜びがあっての自分ではなく、相手が喜ぶために自分に何ができるか・・・自覚が大切である。